After Care



「いてっ!」
「だ、大丈夫ですか、宍戸さん?!」

 どさ、という音と共に、ベッドから消えた宍戸さんを慌てて抱えあげる。
 今、一体何が起こったのかというと、シャワーを使おうとベッドを離れるはずだった宍戸さんが、ベッドから落ちた…
 と言うか、立てずに崩れ落ちた。

「いって〜、今ので腰打った」
「大丈夫ですか?それに、立てないん、ですか?」
「あぁ、そうみてぇだな。つーか、お前が散々盛ったからだろが!」
「だって、久々だったからつい…スミマセン」


  ここ最近、全国へ向けて練習量が増した部活の為に、Hは控えていたのだが、明日は久々の休みだったから、俺もつい、我慢がきかなくなってしまって…。
 その結果、宍戸さんの腰が抜けたらしい。

 ん?でも、待てよ?

 と、いうことは…

「宍戸さん、シャワーどうします?一人では無理ですよね?」
「…今日はイイ」
「ダメですよ!今日ゴムしなかったんですから、このままだと宍戸さんがお腹壊しちゃいます。俺が風呂入れてあげますから!」
「いいっつーの!」

 今迄一度も、宍戸さんは俺に後始末をさせてくれたことがない。
 顔を赤くして断固拒否の姿勢を崩さないところを見ると、多分恥ずかしいからなんだろうけど。
 でも、今はそんなこと言ってる場合じゃない。


「ねぇ、宍戸さん、お願いですから…俺の所為で宍戸さんが辛いのは嫌なんですよ…ね?」

 俺がそう告げると、宍戸さんは、顔を赤くし俯いて、「わかった」と小さく答えてくれた。
 それをしっかり聞いた俺は、宍戸さんをバスルームへ連れて行き、二人で中へ入る。
 宍戸さんを抱えたまま椅子に座り、シャワーのコックを捻ると、少し温めのお湯が降り注ぐ。

「熱くないですか?」

 俺が聞くと、恥ずかしいのか、顔をあげずにコクリと小さく頷いた。
 折角対面で座っているのに、宍戸さんの顔を見られないのは残念だけど、無理に顔を上げさせると、きっと怒るだろうから我慢した。
 宍戸さんを抱いていた手を背中から下へ降ろしていき、後始末を始めることにする。


「宍戸さん、ちょっとゴメンね?」
「んッ…」

 後ろはさっきまで俺を受け入れていた所為か、押し当てただけで、ずぶ…と大した抵抗も無く、数本の指が挿っていく。
 そのまま中から掻き出すように指を使うと、俺の吐き出したモノが、ポタポタと垂れてきた。

「うっ…ク、ん…」

 後始末で感じてしまっているのが許せないんだろう、宍戸さんは必死に声を殺そうとしている。
 けれど、情事後で敏感になっている所為か、羞恥と快感で上気した身体は、小刻みに震えている。

「宍戸さん、声、我慢しないで?俺は貴方を辱めたいのでも、イジメたいのでもないんだから、我慢なんてしなくていいんです」
「あっ、ちょぅた…ろっ、んぁ…」


 俺もできるだけ刺激しないように、前立線を避け、そっと指を使っていたのだが、俺の愛撫に慣れてしまった宍戸さんに、あまりイミは無かったらしい。
 それどころか、

「うぁっ、ん…ちょうたろ…っ、挿れっ…焦らす、なっ」

 逆に煽ってしまったようだったι
 小刻みに震えながら、イキそうになるのを耐え、俺を求めてくれる貴方が、可愛くて、愛しくて。
 俺としては直ぐにでも誘いに乗って、挿れたかったし、挿れられたけれど、ここで挿れてしまったら、後始末の意味が無い。
 それに、宍戸さんに余計負担をかけてしまう。

「ダメだよ宍戸さん、余計貴方が辛くなっちゃうじゃないですか」

 この状況で、そこまで考える理性の残っていた自分を誉めてやりたいくらいだった。
 でも、このままじゃ、宍戸さんも俺も辛いまま。
 だから俺は


「挿れるのは無理だけど…」
「っ!やぁ…!」

 後ろを弄っていた手を本格的な愛撫の動きへ変えると共に、宍戸さんのと俺自身を一緒に握り込む。
 滅多にしないそれへ戸惑い、顔を上げたらしい宍戸さんだったが、握り込んだ手を速め、前立線を引っ掻くように圧してやると、言葉を発する前にもう喘ぎしか出なかった。
 二人分の先走りを広げるように手を動かし、ときどき指先で、鈴口をグリグリと押してやる。
 グチュ グチュと態と音を立てるように弄り、聴覚からも刺激する。
 浴室内に響く嬌声と淫音が、俺達をいつもより少し早く上り詰めさせた。

「はぁ、もぅ、ッ…!」
「…くっ!」

 二人同時に量の違う白濁を溢すと、俺は崩れかかる宍戸さんを抱き締めた。挿れなかったとはいえ、だい ぶ疲れたらしく、ぐったりしてしまった宍戸さんに焦ってしまう。


「だ、大丈夫ですか?!スミマセン、辛かったですよね…」
「大丈夫、だから、も…少し、このまま…

 俺にもたれ掛かったまま、呼吸を整えながら言った宍戸さんの言葉に嬉しくなって、ギュッと抱き締める。

 どれくらい、そのままでいたのだろうか?
 出しっぱなしのシャワーの湯気で、息苦しさを覚えた俺は、さすがにこれ以上はマズイと思い、換気扇を付け、自分達の身体を手早く洗うと風呂を出た。
 ベッドへ戻り、ふと大事なことに気付いた。

「あ!宍戸さん、もう平気ですか?えっと、その、俺、後始末するのは初めてだったんですけど、ちゃんとできてました?もう俺の残ってない?」
「?!バッ、な、何聞いて…
「大事なことですよ!ちゃんと出来てないと、後で宍戸さんが苦しいでしょ?!もう、大丈夫ですか?」

 俺が本気で心配し、訊いているのだと伝わったらしく、赤くなって目を逸らしながらも、「大丈夫だ」と言ってくれた宍戸さんにホッとする。


 宍戸さんは嫌がるかもしれないけど、これからもたまには俺が後始末をしよう。
 あんなことを、シた後の疲れた身体でやるのは大変だろうし…
 などと考えていた俺に、凄く小さな声ではあるが「ありがとな」と聞こえたのは、たぶん幻聴ではなかったのだろう。

 貴方が好きだから、愛してるからさせて欲しい。
 どんなことでも、貴方の為に俺が何かをできるなら、それはとても幸せなことだから。



―終わり―







 お風呂エッチというより、後始末の話が書きたくて(爆)
 下心からじゃなく、純粋に相手を心配しての行為に、
メッチャ愛を感じたんですが…
 そう思うのは私だけかな?;
 でもいいの!この子達のラヴラブな話が書きたかったからv






モドル